コードネームは、和音を略記する方法の一つです。
一般にコードネームでは異名同音は同じ音として考えます。ですから、ダブルシャープ、ダブルフラットはもとより、E♯やC♭を使うこともまれです。
読みは、日本で一般に行われている方法を書いておきます。(本来の英語とは若干異なることがあります)
コードネームはG音を基準に考えるとわかりやすい仕組みになっています。
コードネームの基本
- コードネームは英語音名が基本です。派生音のとき、「♯」や「♭」をアルファベットの右肩に添えるように書きます。
- 英語音名が単独で書かれたとき、その音名を根音(ルート)とする長三和音を示します。必要に応じて、「M」「maj」「△」を、音名の右に添えて書きます。「M」「maj」は「メジャー」の略で、「M」のときには必ず大文字で書きます。
m
- 「m」(マイナー)を英語音名の右に添えたとき、第3音が半音下がります。
- したがって、「m」単独で、短三和音を示します。「m」は必ず小文字で書きます。「m」は「min」「-」と書くこともあります。
7
- 三和音を表すコードネームに「7」(セブン・セブンス)が加わると、根音から短7度の音が加わります。
- したがって、「7」単独で、属七の和音を表します。
- 「m7」では短三和音に短7度となるので、短七の和音です。
maj7
- 短7度でなく長7度の音を加えるには、「maj7」(メイジャーセブン)または「M7」「△7」とします。
- したがって、「maj7」または「M7」だけで、長七の和音を表します。
- 「mM7」(マイナーメイジャーセブン)では、短三和音に長7度が加わるので、短三長七の和音になります。
6
- 三和音を表すコードネームに「6」が加わると、根音から長6度の音が加わります。
- 「6」単独で、長三和音に長6度音が加わった和音になります。和音の構成は、根音が短3度下がった短七の和音の第1転回形に一致します。
- 「m6」では、短三和音に長6度の音が加わります。和音の構成は、根音が短3度下がった半減七の和音の第1転回形に一致します。
aug
- 「aug」(オギュメント)を英語音名の右に添えたとき、第5音が半音上がります。
- したがって、「aug」単独で、増三和音を示します。音名の右肩に「+」を添えることもあります。また、音名の右肩に「+5」と添えることもありますが、この場合「5」は第5音を表し、その前の「+」が半音上がることを表します。
- 半音上がることを示す「+」は「♯」で書かれることもあります。
- 「aug7」(オギュメントセブン)は、増七の和音を表します。この場合、長7度を表す「M」や「maj」は書きません。
-5
- 「-5」を英語音名の右肩に添えると、第5音が半音下がります。この場合「5」は第5音を表し、その前の「-」が半音下がることを表します。
- したがって、m-5で、減三和音を表します。減三和音は「dim」(ディミニッシュ)と書くこともありますが、「dim」が減七の和音を表すこともあります。
- 「m7-5」では、短七の和音の第5音が半音下がるので、半減七の和音となります。半減七の和音は「ハーフディミニッシュ」と呼ばれ、「ø」を右肩に添えて表すこともあります。
- ここに出てくる「-」は「♭」で書かれることもあります。
sus4
- 「sus4」(サスペンデド・フォース)を英語音名の右に添えたとき、第3音が半音(通常短2度)上がります。
- 「7sus4」では、属七の和音の第3音が半音(通常短2度)上がります。
dim7
- 「dim7」は単独で減七の和音を表します。「dim」と書かれることもありますが、本によっては「dim」は減三和音にも使われます。○を英語音名の右肩に付して表すこともあります。
9、♭9
- 「9」が添えられると、長9度の音を表します。短9度の場合には、「♭9」とします。やはり「♭」は「-」と書かれることもあります。長九の和音をのように書くか7を省略して9だけを書くかは、本によります。本によっては「9」や「♭9」にカッコを付けて表すものがあります。
♯11、13、♭13
- 「♯11」は増11度音が、「13」は長13度音が、「♭13」は短13度音が加わることを表します。
add2、add4
- 「add2」は長2度音が、「add4」は完全4度音が加わることを表します。
- 「add2」と「9」の違いは、「9」では根音との9度の乖離をし、「add2」はむしろ根音と単音程の2度のぶつかりを示した書き方と考えていいでしょう。
- 「add4」と「11」の違いも同様です。「sus4」では、3度のところに音が置かれません。
分数コード
- 分数のような形をしたコードネームがあります。一般に分数コードまたはオンコードと呼びます。
- 分子・オン・分母のように読みます。
- 分数の分子に当たる部分は一般のコードネームと同じで、分母に当たる部分は最低音(ベース音)を表します。
- 分子が分母の和音の構成音のときには、転回形を表すことになります。ただ、七の和音の第3転回形のとき、最低音と重複する第7音は分子の方で省略されることがあります。
- 分数の括線は、水平線のこともありますが、斜線で書かれることもあります。また、分母部分をon□のように書くこともあります。
- 分数で同時に2つの和音が鳴ることを示すことがあります。この場合は分母が、単音でなく和音、すなわち最低音でなくコードネームを表します。区別のためには、しばしば、最低音を表すときに斜線を、複和音を表す場合には水平線を使うという方法がとられます。
リズム
- コードネームでは、音価やリズムを表すことができません。旋律や歌詞に添えることによって、和音の音価を示します。次の楽譜では、最初の小節の和音はいずれも2分音符の長さがあり、次の小節では4分音符の長さがあることになります。
問題
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