音の強さによる表現を「強弱法」「ダイナミクス」「ディナーミク」といいます。
音の強さは、強弱記号で表します。強弱記号は多くの場合、音符の下に添えますが、歌詞のある楽譜では上に書くのが普通です。また、ピアノなどの大譜表では、2段の間に書きます。
一定の強さを表す強弱記号
- 基準となる強弱記号
- pp − pianissimo − ピアニッシモ − 非常に弱く
- p − piano − ピアノ − 弱く
- mp − mezzo piano − メゾピアノ − やや弱く
- mf − mezzo forte − メゾフォルテ − やや強く
- f − forte − フォルテ − 強く
- ff − fortissimo − フォルティッシモ − 非常に強く
- 補助的に用いられる強弱記号
- ppp − pianopianissimo, pianississimo − ピアノピアニッシモ、ピアニシシモ − ごくごく弱く
- pppp − pianissississimo − ピアニシシシモ − ごくごくごく弱く
- fff − fortefortissimo, fortississimo − フォルテフォルティシモ、フォルティシシモ − ごくごく強く
- ffff − fortissississimo − フォルティシシシモ − ごくごくごく強く
これらは、実際の強さより、そういった表情を表すと考えるのが普通です。おおむねf、p 6つくらいまで用例があります。
- これらの記号に、さらに、
- molto − モルト − とても
- poco − ポコ − すこし、やや
- un poco − ウンポコ − すこし、やや
が付されることがあります。
- また、
- più − ピウ − より多く
- meno − メノ − より少し
が付されることがあります。それらの記号は、それ以前との相対的な強弱を表します。
- ときに、ごく弱く演奏することを示すために
- sotto voce − ソットヴォーチェ − ひそめた声で
- mezza voce − メッツァ(メザ)ヴォーチェ − 半分の声で
が使われます。
強さの変化を表す記号
- crescendo (cresc.) − クレッシェンド − だんだん強く
- − だんだん強く
- decrescendo (decresc.) − デクレッシェンド − だんだん弱く
- diminuendo (dim.) − ディミヌエンド − だんだん弱く
- − だんだん弱く
- (俗に、松葉、ヘヤピンなどと呼ばれます)が変化の終点を明確に表すことができるのに対して、文字による記号はできませんが、
cresc. - - - - - - - - -
のように、記号のあとに点線を書くことによって終点を明示することができます。点線がない場合には、他の強弱記号が現れたところが終点と解釈するのが普通です。
- 一般に、文字による記号は、比較的長い変化に、 は、比較的短い変化に使われる傾向にあります。
- 組み合わされてたとえば
cresc.
のようにあれば、クレッシェンドして、最後のでさらに大きくクレッシェンドする、と言うような意味になるでしょう。
- これらの記号に
- poco a poco − ポコアポコ − すこしずつ
が付けられることがあります。また、molto、poco、un poco、più、menoなどもよく使われます。
- mancando − マンカンド − 消えるように、だんだん弱く
あまり使われません。
強弱の変化と同時にテンポの変化も表す記号
- calando − カランド − だんだん遅くだんだん弱く、消えるように
- morendo − モレンド − だんだん弱くしながらだんだん遅く、消えるように
- smorzando − ズモルツァンド − だんだん弱くしながらだんだん遅く、消えてなくなるように
- perdendosi − ペルデンドシ − だんだん遅く、消え入るように
一時的な強調を表す記号
- fz − forzando, forzato − フォルツァンド、フォルツァート − その音を特に強く
- sf / sfz − sforzando, sforzato − スフォルツァンド、スフォルツァート − その音を特に強く
- rinf / rf / rinfz / rfz − rinforzando, rinforzato − リンフォルツァンド、リンフォルツァート − その音を特に強く
以上の3つは同じです。重い強調で、弦楽器や管楽器ではのような音の強さの形に、と説明している本があります。
ベートーヴェンの楽譜で、f が続けて現れているときには、この記号の意味になります。
- / / − アクセント − その音を強調して
鋭い強調で、弦楽器や管楽器ではのような音の強さの形に、と説明している本があります。
- − アクセント − その音をふくらませて
弱いところからいったん強くしてまた弱くする強調を表します。弦楽器や管楽器ではのような音の強さの形に、と説明している本があります。
- fp − forte piano − フォルテピアノ − 強く、すぐ弱く
最初の音だけを、もしくは1拍程度f で演奏してからp にすることを意味します。のような音の強さの形になります。
pf は、fpの逆ではなく、反復記号の中で、1回目はp、2回目はf で演奏することを表します。