五線の音を、半音単位で変化させる記号を、臨時記号と言います。
半音
- ピアノの鍵盤で、もっとも音の高さが近い同士の鍵の音の高さの違いの大きさを、「半音」と言います。
- 白鍵と、隣接する黒鍵の間は半音です。
- 間に黒鍵を挟んでいない白鍵同士の間は半音です。
- ピアノでは1オクターブのごとに鍵が12ありますから、オクターブには半音が12あります。
- 半音の倍の大きさの音の幅を、「全音」といいます。
♯
- 楽譜で黒鍵の音を表すためには、特別な記号を使います。その内のひとつが♯(シャープ・嬰記号)です。♯は、それの付けられた音符を半音高くする記号です。鍵盤では、右隣の鍵になります。
- 白鍵の右隣(右奥)に黒鍵が隣接していない場合、その音の♯の音は白鍵になります。
- ♯はその音符の「たま」のすぐ左に付けます。♯の中心と「たま」の中心が一致するように書きます。
♭
- 半音下げるためには♭(フラット・変記号)を付けます。鍵盤では、左隣の鍵になります。
- 白鍵の左隣(左奥)に黒鍵が隣接していない場合、その音の♭の音は白鍵になります。
- ♭はその音符の「たま」のすぐ左に付けます。♭の下部のふくらんだ部分の中心と「たま」の中心が一致するように書きます。
ダブルシャープ
- ♯を付けた音をさらに半音上げるためには(ダブルシャープ・重嬰記号)を使います。
- 通常ダブルシャープの音は白鍵になりますが、元の音の白鍵の右隣(右奥)に黒鍵が隣接していない場合、つまり♯の音が白鍵の場合には、ダブルシャープの音は黒鍵になります。
- ダブルシャープはその音符の「たま」のすぐ左に付けます。記号の中心と「たま」の中心が一致するように書きます。
- ダブルシャープを手で書くときは、×のように書きます。
- ダブルシャープの別の書き方に♯♯のような書き方があると言われますが、一般的ではありません。
ダブルフラット
- ♭を付けた音をさらに半音下げるためには(ダブルフラット・重変記号)を使います。
- 通常ダブルフラットの音は白鍵になりますが、元の音の白鍵の左隣(左奥)に黒鍵が隣接していない場合、つまり♭の音が白鍵の場合には、ダブルフラットの音は黒鍵になります。
- ダブルフラットはその音符の「たま」のすぐ左に付けます。ダブルフラットは下部が「たま」の中心が一致するように書きます。
ナチュラル
- ♯や♭を付けた後で、元に戻すには、(ナチュラル・本位記号)を使います。
- ナチュラルはその音符の「たま」のすぐ左に付けます。記号の中心と「たま」の中心が一致するように書きます。
- ダブルシャープやダブルフラットを戻すにもナチュラルを使います。
- ダブルシャープを♯に戻すには♯を使えば十分ですが、古い楽譜でナチュラルとシャープを続けて書いているものがあります。
- ダブルフラットを♭に戻すには♭を使えば十分ですが、古い楽譜でナチュラルとフラットを続けて書いているものがあります。
名称
- ♯、♭、、をまとめて「変化記号」と言います。
- 変化記号の付いた音を「派生音」といいます。
- 変化記号の付かない音、つまり、を付けて表すことのできる音を、「幹音」といいます。
臨時記号の効力
- 臨時記号は、その臨時記号より右なら、その小節いっぱいは有効です。臨時記号の左には効力がありません(ですから、臨時記号を付けるときには、音符の左に付けなければならないのです)。
- 臨時記号は、次の小節には効力を発しません。
- 同じ小節でも、その音に別の臨時記号が付いている場合は、当然、前の臨時記号の効力はそこまでです。
ここの譜例で緑の線が、臨時記号の効力です。
- 臨時記号の効力は、違うオクターブの同じ音にはありません。
- ただし、臨時記号の有効な音が次の小節にタイでつながっている場合、タイが終わるまでその臨時記号の効力が引き延ばされます。
- 以上のルールをふまえた上で、臨時記号が無効であることが紛らわしい場合に、確認の臨時記号が付けられることがあります。
- 有効であることを示す確認の臨時記号は、通常付けられませんが、小節線をまたいでタイがつながっているときに、後続小節の最初(タイのつながった音)に付けられることがあります。(特に、段の変わるときだけは付ける、というような楽譜もあります。)この場合当然、その臨時記号は、タイの終わりまででなく、後続小節の最後まで(タイがさらにつながっていればその終わりまで)有効になります。
- ♯、♭を使って表されるものには、臨時記号の他に調号があります。調号は別のところで学びますが、臨時記号と調号では効力が大きく異なります。
問題