和声や旋律のつながりのために、全音階から離れた音階が用いられます。
自然短音階
- これまで見てきた、全音階の短音階を、自然短音階と言います。
和声的短音階
- 自然短音階は、第7音が主音の全音下にあるため、主音の半音下に第7音がある長調のように第7音から主音に向かって終止する力が強くありません。
- この第7音に終止する力を持たせるため、自然短音階の第7音を半音上げて主音の半音下とした短音階を、「和声的短音階(和声短音階)」と言います。和音によく使われるからです。短調の和音では原則として和声的短音階を使います。
- 嬰種短調の和声的短音階。半音上げるために♯が使われたりが使われたりします。
- 変種短調の和声的短音階。半音上げるために♯が使われたりが使われたりします。
旋律的短音階
- 和声的短音階は、第6音と第7音の間に増2度があります。これは、旋律のなめらかさを阻害します。
- そこで、増2度を解決するために第6音も半音上げた音階が使われます。
- ところで、第7音が半音上がるのは、次に主音に向かうためでした。従って、主音に向かわないとき、つまり下行するときには、そもそも半音上がる必要がありません。ですから、第6音も半音上げた音階は乗降するときだけ使い、下行するときは、自然短音階をそのまま使います。
- このような音階を「旋律的短音階(旋律短音階)」と言います。旋律的短音階には、上行形と下行形があります。
- 旋律的短音階は、旋律によく使われます。
- 上行形と下行形はかならずしも旋律が上行するとき、下行するときに使われるというわけではありません。和音にvi度音が含まれているときにはvi度音の一致する下行形、和音にvii度音が含まれているときにはvii度音の一致する上行形を使います。
- 旋律的短音階上行形は、主音が同じ長調と、iii度音以外の構成音が一致します。
- 嬰種短調の旋律的短音階上行形。半音上げるために♯が使われたりが使われたりします。
- 変種短調の旋律的短音階上行形。半音上げるために♯が使われたりが使われたりします。
自然長音階
- 全音階の長音階を、自然長音階と言います。
和声的長音階
- 短調のような必然があるわけではありませんが、長調でも、全音階から離れた音階を使うことがあります。
- v度音に向かうvi度音を、半音下げます。これを、「和声的長音階(和声長音階)」と呼びます。
- 和声的長音階は、主音が同じ短調の和声的短音階と、iii度音以外の構成音が一致します。
- 半音下げるためには、♭の他、、が使われます。
旋律的長音階
- 和声的長音階にも、和声的短音階同様の、増2度が存在します。
- これを解決するため、vii度音を半音下げます。この音階は、下行形になります。
- 上行するときにはvi度音を下げる必要がないため、上行形は自然長音階と同じになります。
- 旋律的長音階は、主音が同じ短調の旋律的短音階と、iii度音以外の構成音が一致します。
- 半音下げるためには、♭の他、、が使われます。
変化記号の書法
- 上に見たように、和声的音階、旋律的音階では全音階と異なる音を表すために変化記号を使いますが、これらの音階を表すための特別の調号はありません。通常、臨時記号を使って書かれます。特に短調の曲ではvii度音はほとんど半音上げられますが、すべてその都度臨時記号で書かれます。
問題