音の高さには、名前が付いています。

オクターブ

• ピアノの鍵盤を見ると、同じパターンの繰り返しがあることがわかります。下の鍵盤を見ると、12の鍵でパターンが繰り返すことがわかります。
  
• 繰り返しのパターンの中の同じ位置、つまり、上の鍵盤で同じ数字の付いている音同士は、同じ性質を持っています。
• となりのパターンの同じ位置（数字）同士の関係を、オクターブといいます。オクターブは12個隣の鍵です。言い換えると、オクターブとは12半音のことです。
• オクターブの関係は、音波の周波数が1:2になります。オクターブ上の音は下の音に比べて、倍の周波数になります。

各幹音の音名

• オクターブの中の各幹音には、名前が付いています。
  
• 日本では、音名には、日本語式の他、英語式、ドイツ語式がよく使われます。一方、イタリア語式は、音名として使われるのは避けられる傾向にあります。フランス語式はほとんど使われません。
• 日本でよく使われる「ドレミ」は、イタリア語式音名に由来します。

日・英・伊・仏の派生音の音名

• 日本語式の音名では、派生音を表すのに、「嬰」「変」「重嬰」「重変」を、幹音を表す音名の前に付けます。英語式、イタリア語式、フランス語式では、次のように後に付けます。

  	♯	♭
  日本語式	嬰～	変～	重嬰～	重変～
  英語式	～ sharp	～ flat	～ double sharp	～ double flat
  イタリア語式	ディエズィス ～ diesis	ベモレ ～ bemolle	ドッピオ・ディエズィス ～ doppio diesis	ドッピオ・ベモレ ～ doppio bemolle
  フランス語式	ディエーズ ～ dièse	ベモル ～ bémol	ドゥーブル・ディエーズ ～ double dièse	ドゥーブル・ベモル ～ double bémol

ドイツ語式の派生音の音名

• ドイツ語式では、♯は、幹音に語尾として-isを付け、一語とします。
• ♭は、幹音に原則として-esを付けます。ただし、
  • EesとはせずEs、
  • AesとはせずAs、
  • HesとはせずB
  とします。
• は、幹音に-isisを付けます。
• は、幹音に原則として-esesを付けます。ただし、
  • EesesとはせずEsesとします。
  • AesesとはせずAsasまたはよりまれですがAsesとします。
  • Hesesは、よりまれですが、Bes、BBと呼ぶことがあります。

  	ツェー C	デー D	エー E	エフ F	ゲー G	アー A	ハー H
  ♯	ツィス Cis	ディス Dis	エイス Eis	フィス Fis	ギス Gis	アイス Ais	ヒス His
  ♭	ツェス Ces	デス Des	エス Es	フェス Fes	ゲス Ges	アス As	ベー B
  	ツィスィス Cisis	ディスィス Disis	エイスィス Eisis	フィスィス Fisis	ギスィス Gisis	アイスィス Aisis	ヒスィス Hisis
  	ツェセス Ceses	デセス Deses	エセス Eses	フェセス Feses	ゲセス Geses	アサス・アセス Asas・Ases	ヘセス・ベス・ベーベー Heses・Bes・BB

オクターブ

• 必要に応じて、音がどのオクターブに属するかを示すことがあります。オクターブを示すことによって、音の絶対的な高さをほぼ完全に示すことができることになります。
• ここでのオクターブとはあるハ音（C・Do・Ut）からその上のロ音（B・H・Si）までです。
• オクターブ表記は一般にはあまり行われないせいか、いろいろな方式があります。次に、日本で比較的よく見かけるオクターブ表記を記します。

  オクターブ	日本語式		ドイツ語式		電子楽器で使われる
  	書き方	読み方	書き方	読み方	(1)	(2)
  ・・・・・・
  中央オクターブの2つ上のオクターブ	・ ・ ・ ハ ～ ・ ・ ・ ロ	三点ハ～三点ロ	c3～h3	三点c～三点h	C6～B6	C5～B5
  中央オクターブの1つ上のオクターブ	・ ・ ハ ～ ・ ・ ロ	二点ハ～二点ロ	c2～h2	二点c～二点h	C5～B5	C4～B4
  中央オクターブ	・ ハ ～ ・ ロ	一点ハ～一点ロ	c1～h1	一点c～一点h	C4～B4	C3～B3
  中央オクターブの1つ下のオクターブ	ハ～ロ	片仮名ハ～片仮名ロ	c～h	小字c～小字h	C3～B3	C2～B2
  中央オクターブの2つ下のオクターブ	は～ろ	平仮名は～平仮名ろ	C～H	大字C～大字H	C2～B2	C1～B1
  中央オクターブの3つ下のオクターブ	は ・ ～ ろ ・	下一点は～下一点ろ	1C～1H	下一点C～下一点H	C1～B1	C0～B0
  中央オクターブの4つ下のオクターブ	は ・ ・ ～ ろ ・ ・	下二点は～下二点ろ	2C～2H	下二点C～下二点H	C0～B0	C-1～B-1
  ・・・・・・

音名が示す音の高さは、周波数でいうとどれくらいなのでしょうか。
一般には、中央オクターブのA音を440Hzにします。
これをA=440Hzのように書きます。
音を確認してみましょう。 Hz（Hertz・ヘルツ）は1秒間に振動する回数を表す単位ですが、当然この場合、音波の振動数です。
昔はHzのかわりにc/s（Cycle per second・サイクル毎秒・または、単に、サイクル）を使いました。
実際の楽器のチューニングでは、やや高い441Hzや442Hzにすることも多く行われます。
音が明るくなると言われます。
一方、歴史的には、400Hz以下のピッチや460Hz位のピッチも使われていました。440HzではAというよりは現在のGに近いほどですが、それでもAであることに変わりありません。
現在でもバロック音楽の演奏にしばしば使われるいわゆる「バロックピッチ」は、A=415Hzで、通常よりほぼ半音低くなります。

異名同音

• cisとdesがピアノの鍵盤上で同じになることは、誰もが気づくことです。このように、異なる音名で、ピアノの鍵盤上で同じになることを「異名同音」と呼びます。
• 音名は、オクターブに7音（C～H）×5（～）で35あります。一方、ピアノの鍵盤はオクターブに12鍵です。おおむね、3つの音名、すなわち楽譜上の音符の書き表し方につきひとつの鍵しかないことになります。
  
  

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