「終止」とは、音楽の段落の終わりの部分のことです。段落の終わり方には、いくつかの種類があります。
完全終止
- 次の条件が揃った段落の終わりを、完全終止と呼びます。
- D→I(T)で段落が終わること。
- DはVまたは、V7ないしV7を含む和音(V9など)であること。基本形が望ましい。
- Iは基本形で、最高音も主音であること。
- 完全に終わった感じとなりますので、楽曲の終わりにはこの終止が使われるのが普通です。楽曲の途中でも使われます。
不完全終止
- 完全終止と同じようにD→I(T)で段落が終わりますが、Iが第1転回形であるか、最高音(ないし主旋律)が主音でないとき、またはその両方のとき、これを「不完全終止」と呼びます。
- 不完全終止は、終わった感じがしないので、普通、楽曲の途中で使われます。
- 完全終止と不完全終止を合わせて、つまりD→Iの終止を合わせて、「全終止」と呼ぶときもあります。
- 本によっては、Iが第1転回形でも、最高音(ないし主旋律)が主音であれば、完全終止に分類しています。
変終止
- S→Tで段落が終わることを、「変終止」または「変格終止」と呼びます。普通、IV→Iのどちらも基本形が用いられますが、IV→II→Iや、IV→VII→Iといった進行をすることもあります。和声学の本によっては、これら、II、VIIといった和音を、IVの変形と見なします。
- キリスト教曲の最後の「アーメン」の部分によく使われるので、「アーメン終止」とも呼びます。
- 通常は、いったん完全終止をした後に使われ、楽曲の終わりも使われます。
偽終止
- D→VI(T)で段落が終わることを、「偽終止」と呼びます。全終止すると見せかけて、VIに進行するからです。
- 楽曲の終わりには使われません。
半終止
- Dで段落が終わることを、「半終止」と呼びます。
- 終わった感じがしないので、楽曲の途中に使われます。
女性終止
- 以上の終止の中で、終止和音が弱拍に当たるものを、とくに「女性終止」と呼びます。
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